平城宮跡の工事

 2022年現在「第一次大極殿院」の復原整備をはじめ、平城宮跡各地で工事やその計画があります。公園内各地で工事やそのための用地はありますが公園全体の利用は可能です。このページでは、平城宮跡で行われている工事や計画についてまとめます。

素屋根を移動中の頃の大極門(現在の様子とは異なります。)
素屋根を移動中の頃の大極門(現在の様子とは異なります。)

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平城宮跡の工事の背景

平城宮跡の国営公園化

 平城京の中枢部である平城宮の跡地「平城宮跡」では、国土交通省による「国営公園」として整備が行われることが2008年に決定しました。2010年に「平城遷都1300年祭」のメイン会場として使用された後、工事が本格化し「第一次朝堂院」の整備工事や朱雀門の南側におけるガイダンス施設「天平いざない館」の整備をはじめ、既存の園路の再舗装や休憩施設の整備が行われました。

 同時に平城宮跡南側では公園利用者の為の便益施設として交通ターミナルや飲食、物販施設が奈良県によって「県営平城宮跡歴史公園」として整備されることになりました。

 

 尚、「国営平城宮跡歴史公園」は便宜上の名称であり、既に整備が進む奈良県明日香村の「国営飛鳥歴史公園」と共に飛鳥歴史公園の平城宮跡地区として整備が進められます。

 

 国営、県営のお話につきましては、こちらのページにて詳しく解説しています。

「朱雀門ひろば」の開業

 「国営平城宮跡歴史公園」「県営平城宮跡歴史公園」の第一期が2018年3月24日に開園しました。主な施設としては朱雀門と第一次大極殿院の間にある「第一次朝堂院」が国営公園の一部分として、その路面を往時の姿を彷彿させる整備が行われました。また、朱雀門の南側に平城宮跡について総合的に紹介するガイダンス施設として「平城宮いざない館」が開館。朱雀門前の朱雀大路と二条大路がそれぞれ国営公園として整備されました。

 公園来場者の為の便益施設として物販飲食施設、交通ターミナル、平城遷都1300年祭のレガシー施設となるシアターや遣唐使船が奈良県による県営公園として整備されました。

 この朱雀門南側の国営、県営の施設群を「朱雀門ひろば」と呼びます。

第一次朝堂院
第一次朝堂院
朱雀門ひろば(県営公園より国交省の朱雀大路と文化庁の朱雀門を見る)
朱雀門ひろば(県営公園より国交省の朱雀大路と文化庁の朱雀門を見る)

平城宮跡は工事中でも散策可能

 「朱雀門ひろば」を中心とする2018年の第一期開園後も第一次大極殿院を中心に復原工事が進められています。しかしながら国営公園や県営公園の整備工事は、その全てを同時進行でするのではなく整備工事を行う場所を順番に変えながら行っています。工事を行っていない場所については散策が可能となっています。

 

 国営、県営公園として開園していないエリアはこれ以前より、文化庁や奈良文化財研究所によって復原建物や展示施設とそれらを結ぶ園路などが整備されており、観光をするにおいては国営公園開園済みエリア、県営公園開園済みエリアと、未開園エリアについては気にする必要はありません。

現在の平城宮跡の工事

第一次大極殿院復原整備

復原事業情報館の模型
復原事業情報館の模型

 2010年「平城遷都1300年」に合わせて整備された「第一次大極殿院 正殿」の前、近鉄電車の車窓からも大きく鉄骨が見える工事が「第一次大極殿院」の復原工事です。2022年現在は砂利の広場となっている部分をぐるっと取り囲む形で、奈良時代には回廊と門と2つの楼が存在していたとされています。これらの建物群を「第一次大極殿院」と呼称し復原する計画となっています。

 

 そのうち「第一次大極殿 南門」の復原が先に進められ2022年3月に「大極門」と呼称を改めて完成する予定です。今後は東楼の復原に取り掛かるとのことです。尚、「第一次大極殿院 正殿」は文化庁による復原整備でしたが、南門や回廊などの復原整備は国土交通省により進められています。

 

>>大極門(第一次大極殿院 南門)復原完成へ

 

 また、復元整備計画が正殿の裏側にある県道と重なっており、全ての計画を終えるにはその移設を待たなければなりません。

 復元に関する情報や技術を「第一次大極殿院 復元事業情報館」にて公開されています。

復原事業情報館
復原事業情報館

その他の工事

 その他、大規模なプロジェクトではないものの、整備や補修や草刈などの工事が行われている可能性があります。

今後の大きなプロジェクト

朱雀門前に正倉院を再現?

(県営公園朱雀大路東側地区)

 2020年になり、「平城宮跡に正倉院を再現する」という旨の見出しにて新聞報道がありSNSを一時賑わせました。この件については2008年に定められた平城宮跡歴史公園の基本計画において奈良県が整備する施設の「歴史体験学習館」として記されていたものです。「平城宮跡歴史公園」の施設として整備されるものではありますが、厳密には「平城宮」の「跡地」からは外れており、「天平いざない館」の南側に整備されます。そのうち西側の半分程度の敷地を先行して整備される様子です。

 

 2018年より「平城宮跡歴史公園歴史体験学習館の整備に関する検討委員会」が設けられ審議されてきました。大宮通りに面した西側の「遣唐使船」に対(つい)になるようなシンボリックな建造物=ランドマークとして正倉院をモチーフにした施設の設置が審議されました。尚、この整備では3つの体験テーマ「歴史」「文化くらし」「宝物」を3棟の建物で整備することとされ、残り2つの建物は天平いざない館と意匠が統一されると審議されています。

あらたな公園敷地

(県営南側地区)

 朱雀門ひろばから「大宮通り」を挟んだ向かい側は民間企業の工場でした。工場閉鎖後は住宅開発の計画もありましたが2018年に所有していた民間企業、奈良県、奈良市が協定を締結。以後、奈良県が主導で県営平城宮跡歴史公園の一部として整備が進められることとなりました。

 

 詳細な計画が動き出すまでの約4年間を対象に「奈良めぐり平城宮跡前駐車場」が奈良県により暫定的に整備され2021年10月1日に開場しました。

 

>>奈良めぐり平城宮跡前駐車場について詳しく

 

暫定整備着工前の様子
暫定整備着工前の様子
暫定整備された駐車場。敷地の三分の一程を使用している。
暫定整備された駐車場。敷地の三分の一程を使用している。

近鉄奈良線の移設

 平城宮跡歴史公園の基本計画では平城宮跡を東西に貫く近鉄奈良線の移転については度々話題になりましたが、2020年7月に大宮通りの地下に移設する「奈良県案」を基に協議を行っていくと、国、県、市、近鉄が合意に至りました。

 この「奈良県案」では平城宮跡朱雀門南側の大宮通り地下に「仮称 朱雀大路駅」が設置されることとなり、平城宮跡へのアクセスが飛躍的に向上します。

 2022年現在においては関係各者による協議が実施されているものとみられ、環境アセスメントにもたどり着いていないと思われますので具体的な動きにはまだ時間が必要となりそうです。

詳細未定のエリア

 この記事でここまで紹介してきたエリアの他にも、国営、県営として未開園の部分はまだまだあります。また、新たに土地買収を行い平城宮跡歴史公園とする計画もあります。

 それらの敷地について、おおよその役割は整備計画に示されていますが具体的な計画についてはまだ明らかになっていません。

注釈・参考文献

※このページでは各計画及び資料内に記されている文言から表現をわかりやすく変更している部分があります。

 

参考文献

・平城宮跡歴史公園 第一次大極殿院建造物復元整備計画 https://www.kkr.mlit.go.jp/asuka/heijo/basic/pdf/fukugenseibi.pdf

・国営飛鳥・平城宮跡歴史公園 平城宮跡区域基本計画 https://www.kkr.mlit.go.jp/asuka/heijo/basic/pdf/kihon.pdf

・平城宮跡歴史公園歴史体験学習館の整備に関する検討委員会について 各資料 http://www.pref.nara.jp/item/200569.htm

・平城宮跡に正倉院再現へ、奈良県 25年度末目標、ほぼ実物大 (共同通信配信のYahooニュース) https://news.yahoo.co.jp/articles/cd13660f9d210747568683c8956fe5f1c8815723

・平城京の“中枢”へ 未解明な「一等地」の発掘調査にかかる期待 (Sankei Biz)https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200223/cpd2002230830002-n1.htm

・奈良)平城宮跡南側を待機場に 奈良公園バスターミナル(朝日新聞) https://www.asahi.com/articles/ASN1P3G3SN1PPOMB004.html

・近鉄線「移設案」合意 - 踏切の改良前進/国・近鉄・県・奈良市(奈良新聞) https://www.nara-np.co.jp/news/20200717090953.html

・平城宮跡の近鉄奈良線移設へ合意(NHK) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20200716/2050004845.html

関連リンク